銀盤カレイドスコープ

今、このシーズンに読まずに何を読めというのか。

銀盤カレイドスコープ vol.1 ショート・プログラム:Road to dream (銀盤カレイドスコープ) (スーパーダッシュ文庫)銀盤カレイドスコープ〈vol.2〉フリー・プログラム:Winner takes all? (集英社スーパーダッシュ文庫)
銀盤カレイドスコープ vol.3 ペア・プログラム:So shy too-too princess (銀盤カレイドスコープ) (スーパーダッシュ文庫)銀盤カレイドスコープ (Vol.4) (集英社スーパーダッシュ文庫)銀盤カレイドスコープ〈vol.5〉ルーキー・プログラム:Candy candy all my rules (集英社スーパーダッシュ文庫)銀盤カレイドスコープ〈vol.6〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)銀盤カレイドスコープ vol.7 リリカル・プログラム:Be in love with your miracle (銀盤カレイドスコープ) (スーパーダッシュ文庫)銀盤カレイドスコープ vol.8 コズミック・プログラム:Big time again! (銀盤カレイドスコープ) (スーパーダッシュ文庫)銀盤カレイドスコープ vol.9 シンデレラ・プログラム:Say it ain't so (銀盤カレイドスコープ) (スーパーダッシュ文庫)

その昔。
ほぼリアルタイムに1〜4巻までは読んでいたのですが、そこで終わってました。
面白い作品ではあったのですが、1〜2巻がピートと言うファンタジー要素があっての作品だったのに対して、それ以降は明らかにテイストが違うのが少しなじめなかった。
後に、少女漫画やアニメになりましたが。
……アニメはヒドかったな(苦笑)。


これを読んでいた頃。
男子に比べ*1、日本の女子フィギュアには見るべき人材がありませんでした。
一応、安藤美姫はジュニアで注目され始めていましたが、明らかに危うかった。
とても、世界に打って出れるようには見えませんでした。


だからこそ、日本女子フィギュアに世界を、再び、オリンピックで金を狙える人材が出てくるなんて考えられもしませんでした。
そういう意味で、桜野タズサの存在は、ファンタジーであったと言えます(笑)。


その銀盤カレイドスコープ
実はトリノ五輪の2006年からバンクーバー五輪2010年までの4年間の物語になってます。
1〜2巻は国内でくすぶっていたタズサが、幽霊のピートと出会うことで精神的な成長をし、世界へ出て行くキッカケを得るまでの成長ファンタジー
3巻でアメリカに渡ったタズサは、実力を発揮し始めるも、とあるキッカケからワンシーズンだけペアを経験。
4〜6巻は、妹ヨーコ、新人キャンディ・アカデミア、アメリカのドミニクと日本の至藤、と視点が変わっていきます。
確かに物語は進んでいるのですが、少し物足りない。
7〜9巻はひとつらなりの物語。
リアを越えるために、バンクーバー五輪へ挑むタズサの物語。
これを読んで、やはりこの物語の真骨頂は、タズサによるタズサのための物語であったと実感します。


後書きで、作者は「本書はスポ根と言われるが、スポ根を書いているつもりはない」と述べています。
その理由は、「根性」の部分を書いているつもりはない、からだとか。


とんでもない。


これ以上ないぐらいのスポ根です。


特に、最終エピソード。
明らかにワンランク上に君臨するリアに挑むためのタズサは、星飛雄馬に負けないほどの根性を見せます。
他のどこに、ゲ★を吐くまで練習を続けるヒロインがいますかって。


昨今の少年漫画ではまともに修行をしません。
スポーツ物ですら、練習や修行といったところに主眼が置かれなくなってます。
……本書は、とてもよいスポ根ものだと思います。
絵に騙されることなく、むしろスポーツ男子に読んでもらいたいかも。


そして、その最終決戦での結果は……
うーん、そうか。
そうだよな。
五輪だものな。
……この展開、流れは流石。安易なハッピーエンドへは逃げませんでした。そういや、そもそもの1〜2巻の頃から、その辺りはシビアだったものな。


しかし、最後にタズサが師事するコーチ、マイヤ・キーフラ。
どうも、僕の脳内ではタチアナ・タラソワのイメージでしか再生されません(笑)。
キャラが強いんだよ、タラソワ……(笑)。

*1:男子はイケメンスケーターの走り、田村岳斗や、本田武史がガンバっていたのですが。