スカイクロラ

森博嗣原作、押井守監督。

スカイ・クロラ [DVD]

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http://sky.crawlers.jp/tsushin/


原作は読んでいないんですが……


オシイ節全開だわ(笑)。


と言うか、本当に原作通りの流れなんだろうか、これ。
あまりに、押井作品過ぎるんだが(笑)。


舞台は、欧州らしき近代社会。
プロペラ機が主流なことから、技術水準は第一次世界大戦から第二次世界大戦までの間と思われる。
空戦を主体とした戦争が行われているようで、それ以外の戦争行動が行われている様子はない。
地方基地に、一人のパイロットが配属されるところから物語は始まる。


本作では、舞台背景の説明らしき説明も殆どなされないで話は半ばまで進む。
その世界観が独特なのにもかかわらず。
二つの大国の争い、その争いはそれぞれが雇った民間軍事会社同士の空中戦という形で続いています。
そのパイロットは、キルドレと呼ばれる、不老の子供たち。
もちろん、主人公もキルドレです。
戦争を民間に、更に言えばキルドレという子供に託す世界の異常。
キルドレという、時間の一点にとどまり成長できないパイロットたちの異常。
そして根本的に、人を殺し、殺されることを生業とする者たちが存在すると言う異常。
これらの異常が、キルドレであるが故に、ただ淡々と生きている主人公たちを通して描かれます。


以下ネタバレ。
後半、草薙氏の言葉として語られる戦争論
人々が平和を実感するために、ショーとして一進一退を演じさせられる戦争。
押井キャラだなぁ(笑)。


そして、“似たような連中”にいつも会うパイロットたち。
戦死したパイロットの代わりに新たに配属されるのは、どこかで見たような男。
そして最後には……


どういう理屈になっているのか良くわかりませんが。同じ個性を持つ別名のパイロットが再配属されて来る。
永遠に終わらないサイクルの物語。
だが、そこに一筋の望みを託す形で終わっている。


この辺りも、押井守の原点の一つ「ビューティフルドリーマー」の新たな換骨奪胎なのかもしれない。
言えることは。
押井ファンは必見である。