大魔王は、世界滅亡の夢を見るか?

まさか次があるとは思わなかった……ナイトウィザード・アンソロジーノベルの第二弾です。

タイトル、表紙でお分かりの通り。
今回のテーマ……というか、ある意味での主役は、魔王ベール=ゼファーです。
ちまたではポンコツ魔王とか呼ばれ、非常に愛されてますが(笑)。*1


前作と同じく、著者・イラストレーターの異なる4篇が収録。

・赤羽くれはの事件簿(著:藤原健市/画:みかきみかこ)
・世界の危機の中心で愛を食べる(著:佐藤了/画:石田ヒロユキ)
・八番目の不思議(著:はせがわみやび/画:猫猫猫)
・大魔王は、世界滅亡の夢を見ちゃった(著:菊池たけし/画:ぽぽるちゃ)

その他に、間にブリッジが入って全体をベルの視点からまとめてあります。


「赤羽くれはの事件簿」。
主役はくれはだが、同作者の既刊2作のキャラクターが登場し、番外編的にも読むことができる。
転生者の〈遺産〉を集めて悪事をたくらんでいる連中がいるのだが、……ダメすぎる(笑)。


「世界の危機の中心で愛を食べる」
ナイトウィザードかくあるべき(嘘)。
緋室灯お手製のチョコレートをめぐる世界滅亡の危機(笑)。
ま……コントですが。
それがいい。


「八番目の不思議」
学校の七不思議、その八番目が存在するらしい。
主役はコミックス版「ヴァリアブルウィッチ」の竜之介。
女の子に変身してしまう男の子、というのを、いやらしすぎず、甘酸っぱく、うまく描写している。
物語も幽霊をめぐる切ない系の話で……
まぁ、難を言えば、侵魔も冥魔も登場しないで、どこがナイトウィザードだっ! ってな感じですかね(笑)。*2


「大魔王は、世界滅亡の夢を見ちゃった」
主役はベル。
敵はメイオルティス
さらわれるヒロインはアゼル=イブリス。


なぁんだ、フツーのナイトウィザードか……


いや、フツーじゃない(笑)。
ついついベル視点がフツーな気がしてしまうが、ナイトウィザードの主役はウィザードたちだった。
作者は菊池たけし
小説としては、構成にひねりもないし、本文のほぼ9割が台詞で占められているし。どちらかと言うとラジオドラマの台本みたいなものだが。
意外に読める。
安心して読める。
ゲーム関係の書籍で、専業作家以外が請け負っている作品以外は地雷を踏む確率が高いのだが*3、もうそのあたり、心配要らなくなった気がする。


TVアニメ放映から、もう二年も経った。
何はともあれ、このタイミングで出版されたことは、本当に喜ばしい。

*1:ダブルクロスの春日恭二と並んで、F.E.A.R.作品の愛される敵です。

*2:逆に、こういうのもアリだって言う例示にはなる。まぁ、他のゲームでやれって気もしますが(笑)。

*3:そして、メディアミックスでノベライズを任された専業作家は作品そのものを根本的に理解していないというケースもまた、コレが多い。