セイント・アンガー

発売日直後に、bk1やらAmazonやらで注文しようと思ったら在庫切れ。
版形が違えば発行部数も違うから、一概に比較はできないけど。あのDX3ですらまだ初版の在庫があるのに。
……ナンというスタイリッシュ力!(意味不明)

「スタイリッシュ・アクションRPG」という肩書きで発売された「ガンメタル・ブレイズ」。
その特徴は、スタイリッシュなロールプレイを支援する、オリジナルのカードにある……らしいんですが、未読です。
春から初夏に出た作品はだいたいフォローしたんですが、一番の本命っぽいコレを敬遠しているのは、良くも悪くも、このオリジナルカードです。
カード切り取るのとかって、面倒臭いし、切り取った出来具合が気になるから、どうも苦手でして……*1


本書は、その初のリプレイ単行本となります。
「ミッドサマーの破壊舎」と「スナッチラグタイム・ショー」の連続した二編ガ収録。
GMと著はデザイナー千葉直貴。
プレイヤーはゲストに大竹みゆ、安定感のある主人公役といえばこの人、かわたな田中信二、鈴吹太郎、そして何故か菊池たけし


さて。
スタイリッシュとは何ぞや、という前提条件がまぁ議論の余地はあります。
僕は、平たく言うと、「カッコイー」*2に置き換えて話が通る横文字カタカナ、それが「スタイリッシュ」だと思ってます。
少なくとも、英語本来の用途よりは、ここではそう扱ったほうが妥当と思われます。


そんなスタイリッシュな物語が読みたい、と思って本書を手に取ると、裏切られます。
どっちかと言うと、「オモロー」です(苦笑)。
スタイリッシュなリプレイ、と言って僕は、グループSNEシャドウラン・リプレイのシリーズや、稲葉義明の作品が思い浮かびます。
それらの作品と、本書は一線を画します。
それは至極単純な話。
TRPGは、そしてリプレイという作品には、二つの風景が平行して存在します。
メナスと戦うプレイヤー・キャラクターたちはスタイリッシュで格好いいんでしょう。
でも、それを演じるプレイヤーは、ゲラゲラ笑いながらメタ的な発言をしつつゲーム・システムを回しているのであって、そのどちらを重点において描写するか、と言うことが問題になります。
本書は、プレイヤーのゲーム・システムの運用に重点が置かれているため、運用の参考としては申し分ありませんが。スタイリッシュな物語を読む読み物としては、まったく期待できません。


キャラ造詣や、ストーリーラインも、取り立てて特出したものはありません。
ただ、このカードを使ったシステムで回せば、どんな物語もスタイリッシュになる。そんな大宇宙のファンタジー、それが「ガンメタル・ブレイズ」。
それはよくわかりました(笑)。*3

*1:既存のトランプやタロットで代用できるヤツはいいんですけどね……、「シルバーレイン」も切り取ってないしなぁ。

*2:「格好いい」と漢字で発音してはいけません。あくまでカタカナで「カッコイー」です(笑)。

*3:ただ、このカードは、他プレイヤーのロールプレイを誘導するという要素があるため、プレイヤー全員が同格のゲーム・スキル、セッション・ハンドリング・スキルを有していないと潰される可能性があります。取り扱いの難しいゲームです。少なくとも、僕はそのポリシー的にプレイしようとは思いません。