アゲインスト・ジェノサイド

ガンドッグゼロ』初のリプレイ。
ガンドッグ』時代からすると3冊目。
従来のメインデザイナー狩岡源に替わって、ウォーハンマーの翻訳やLead&Read連載のD&D4eリプレイの岡和田晃が執筆。

ガンドッグゼロ リプレイ アゲインスト・ジェノサイド (Role&Roll Books) (Role & RollBooks)

ガンドッグゼロ リプレイ アゲインスト・ジェノサイド (Role&Roll Books) (Role & RollBooks)

……ナンて言うか。


しょっぱい。


D&D4eリプレイではそれほどとは思わなかったんだけど、正直、この人はリプレイを書くのには向いていないんじゃないだろうか。
全体的に冗長で、読み物としてのセンスに欠ける。
軍事物やクライムフィクションのような雰囲気を出したい、という要素と、GDZ初のリプレイと言うこともありルールを必死に解説したい、という要素が化学変化を起こして、まったく非活性の役に立たない物質になってしまったようだ。


読むだに。
本来はこの人は、真面目な文章を書くべきなのだと思う。
それこそ大学の卒論のような。*1
冒頭の指揮官からの指示を模した、TRPGとは・リプレイとはの解説のスベリっぷりや、各キャラクター紹介のそれぞれ4ページにも渡る冗長な独白を読む限り、そういう韻文的な才能はあまり期待しないほうがいいんじゃないかと思う。
結果として、読み物としての部分にこだわった結果、へたくそなマニュアルを読んでいる印象を受ける。


解説本として見ると、シナリオはチュートリアルとしては気取りすぎで構成が悪い。
ハンドアウトやキャラクターの個性も充分すぎて過剰だ。


逆に、読み物の部分を重視するのであれば、解説の見せ方は割り切って考えるべきだった。
また、今回の作品は、プレイヤーとしての台詞ではなく、キャラクターとしての台詞でつづったリプレイであり、これまでもそういう作品がないわけではない。
ただ、GMが演じるNPCがPCと同じ表記で台詞を喋る。
かと思うと、どこからかは知らないけれど、NPCだったはずのキャラクターに中の人が生えてきている。
一言で表わすなら、カオスである。
そういうヘンな構成にするなら、もう少し手を入れるときに考えたほうがいい。


セッション自体は、面白いんだと思う。
少し変則的なセッション運用であり、実は、解説本の体裁をとっているが、本当はルールを熟知している人こそが一番楽しめると思う。
星の巡りが、本当に、ザンネンな感じになってしまった。
ザンネン、としか言いようがない。

*1:ちなみに、卒論が身に染み付いたは、もってまわった冗長な文章を書くクセができる。そりゃ規定枚数までページを稼ぐためなんだけど、社会に出たら弊害である。公務員以外は(笑)。