エンドゲーム

常野物語、その第三作。

エンド・ゲーム 常野物語 (集英社文庫)

エンド・ゲーム 常野物語 (集英社文庫)

常野物語はやはり第一作「光の帝国」で一つの作品としては成立しているわけで。
その「光の帝国」には様々な常野の能力者たちが描かれました、長命種、遠目・遠耳などの遠隔知に未来予知、“飛ぶ”瞬間移動。
二作目「蒲公英草紙」では“しまう”能力、テレパシストの一種とも思われますが、こちらの先祖達が描かれました。


そして、常野の中で異彩を放っているのが……「オセロ・ゲーム」に登場した“裏返す”能力を持った拝島母娘。
彼女達の物語だけは、他の常野たちの物語と、光ある未来と繋がっているようには見えなかったのですが。
この「エンドゲーム」では、「オセロ・ゲーム」のその後が描かれます。


最強だった父に次いで、やはり強かった母も失踪してしまいました。
そして、父が最後に残した言葉。
それは常野に繋がる“洗濯屋”と呼ばれる能力者たちへと繋がっていた。
彼女らは敵である“それ”を見つけ、“裏返す”。“洗濯屋”は、そんな能力を“しまって”“真っ白にする”ことができる。
“裏返す”能力がなくなれば幸せに生きられるのか?
そもそも“裏返す”とは、どういうことなのか?


……そもそも、オセロで裏返ったら……にならない?
と思っていたんですが。そこはやっぱり、○○の正体も予想通りでした。
とこどが、恩田陸の怖いところは、そこで終わらず。
どんでん返しして、更に返して、そのぐらいでいいのに、更に何やかやあるようなうやむやにされているような(笑)、そんなうちに気がつくと納得させられてしまっています(笑)。


でも結局、彼女ら“裏返す”能力の物語は、他の常野へ。「光の帝国」で描かれた三宅篤の下へ収束していかない気がするんですが(笑)。
ハッピーエンドなら、それでいいか!?(笑)