聖都のちょっとした終末&颯爽! デザートナイツ

エムブリオマシンのリプレイが2本同時刊行。
まぁ、エムブリオマシンというゲーム自体が、本来リプレイには向いていない、と言う話はもうしつこいぐらいしたので省略。
それを踏まえた上で、今回の2冊。


まずは聖女シリーズの最終巻。

聖都のちょっとした終末―Replay:エムブリオマシンRPG (integral)

聖都のちょっとした終末―Replay:エムブリオマシンRPG (integral)

妹ルーンに埋め込まれた、聖女のプランセンタ・チップ。
それで動くのは……


以下ネタバレ
超巨大人型EMでした。
湖から登場し、しかもイラストでは女神像のようなデザインに見えます。


……ロボット刑事Kのマザーみたいです。
って言うか、確かにまぁ、今の読者にはロボット刑事Kとか、知る人もいないでしょうけど。*1
正直、聖都自体に聖女のみが起動させられる機構があるとか、SFチックなネタかと思ったんですが、ストレートに来ました。


聖都は権謀術数の世界のようなんですが……そのワリには汚名を着せられたシルベスタ団長がさくっと返り咲いたり、ちょっとお手軽感が勿体ないです。
第1巻では、エムブリオマシン戦がプレイヤーvsGMではなく、プレイヤーvsプレイヤーの構造にするなど、面白い点があったんですが、正直、2巻・3巻と物語は進んでいますが、面白さ、楽しさは別物だなぁ、と言う印象です。


さて、続いては清松みゆきの新刊。
Role&Roll vol.48で一部掲載されたリプレイ新シリーズ。

こちらは3話収録。
聖女シリーズは、主人公の女の子がLLサイズ機体であるなど、ビミョウにキャラクターとマシンのバランスが悪い感じだったんですが、こちらの方がバランスが良く感じます。
Role&Roll掲載の際にも書きましたが、エムブリオマシンRPGは、プロッティングというプレイヤーに不利なゲームであるため、ルールブック自体にGM側が機体数を減らすなどの方法が推奨されています。
でも、それだと物語として面白くないのが実情。
清松みゆきは、第1話では、敵側ユニットの判断にランダム性を取り入れるなど、その点をカヴァーしてゲームとしての面白さをも追求しています。
それは決してストーリーがつまらないと言うことではなく、むしろ逆。


以下ネタバレ
巨大EMが登場した聖女シリーズに対して、こちらのシリーズではEM基地……と思わせておいて陸上戦艦が登場。
人工知能が制御する陸上戦艦。
まだ人工知能がプレイヤーの支配下に置かれていないので、充分にコントロールできず、謎の「アールダー」という地を目指して進み続ける。


これによって、ロボット物の定番である戦争物だけではなく、冒険物の要素も出てくるわけです。
スタートレックとか、西遊記みたいな。
行った先で、トラブルに巻き込まれる、と言う流れが自然になりまs。
それに加えて、陸上戦艦自体の攻略、謎のアールダーの探求と、意外に陸上戦艦とか大概な設定に見えますが、エムブリオマシンのゲームとしては相性がいいようにも感じます。
3話構成であることにより、話もサクサク進むし、実に続きが楽しみです。


清松みゆき、ここにアリって感じだな。
ただ、ページ数が足りなくって、ものすごっく小さな文字で詰め込まれている秋口ぎぐるの後書きが、妙に気になりますね(笑)。

*1:僕だって、番組そのものは見たことないし。