詩羽のいる街

野生時代に連載されてたんだ。
野生時代、リニューアル前にグダグダになってたからなぁ。そこからノーチェックだったなぁ。

詩羽のいる街

詩羽のいる街

山本弘のファンからすると、「えー、出たんだ」というのが率直な驚愕です。


今は、書庫の結構奥に収蔵されちゃったのですぐに出せませんでしたが。かつて山本弘が出した同人誌に「ようこそようこ本」の2冊目に、そのプロットは掲載されていました。
「ようこ」とイメージが被るというそのプロットは、SFのマインドを持った不思議な作品、ふしぎと記憶に残るプロットでした。
そして、そのプロットどおり*1の作品が……この1話と形に成っているのです。


SFのマインド。
そう、言うなれば、既成の価値観へのアンチテーゼの提示。
その点で言えば、詩羽は、宇宙人も同じ、メンターナやインチワームと同じ次元の存在です。
この現実社会で生活する、僕たちから見れば。


現代の社会を舞台に、決してスーパーパワーもない普通の人々が暮らす街で起こる。
そこにあるのは、心の問題。
シンプルな価値観の模倣子が起こす奇跡の物語です。


こういう言い方は、あまり好ましくありませんが。
若い女性向けの、“ちょっと感動ストーリー”の体裁を取っているので*2、売れそうな、今風の作品に仕上がっています。
そして、間違いなく。
SF作家山本弘の傑作であることは事実です。


僕は、「ラプラスの魔」と「バトル・プラネット」と「私はこうしてバルサスした」からの山本弘ファンですが、この本を読んで恐ろしくなった。
山本弘はまだ進化しているのか、と。


……ウェンズディが楽しみだ(笑)。

ネタばれ警報


追伸。
坂城しじまの「機装妖精チャイカ」がアニメ化され、館林未緒が声優をしている世界ですが。
……「チャイカ」を覚えていると、ミスリードになります。
やられた。


名前のアナグラムにはすぐ気付いたんだけどな。

*1:いま手元にはないので、あくまで僕の記憶の限り、ですけど。

*2:でも、マインドが男らしすぎて、女性が共感するかどうかは非常に気になるところです。