ダブルクロス・リプレイ・エクソダス(1)

ダブルクロス新シリーズ。
菊池たけしの、無印。
矢野俊策のオリジン、アライブに続く、正統派・通常ステージの第四弾。*1
まぁ、第一話は一般ステージかって言うと、厳密にはFH支配下X島っていう、ある意味、エンドラインか陽炎の戦場、デモンパのヘルオンアースに近い環境ですが。


今回のテーマは、「望まざる力を手に入れたもの」という部分を協調するために、FHに拉致され勝手に人体改造されてしまった主人公たち、という立場になっております。
よく誌面などではショッカーに改造された仮面ライダーが引き合いに出されていますが、冒頭の演出などを考えたり、敵役の組織名が「ファントム・セル」であるというところ、主人公たち改造成功例にはXナンバーズというナンバーが振られていること(そして、PC①の諏訪原慎也には09が与えられている)辺り、サイボーグ戦士009の原作版のイメージが強そうです。
009と違うのは、009は製作例の9人全員が一致団結して逃げたのに関わらず、この物語では主人公側と残されたものとで対立します。


そして、流石にダブルクロスだと感服するのは、やはりその既に築き上げられた世界観。
矢野俊策らデザイナー陣が構築した、レネゲイドの宿命に抗う者の世界。
そして、そこに色を与える、しのとうこのイラスト。
今回も顕在、満開です。


今回のプレイヤーが矢野俊作、しのとうこ鈴吹太郎、それにグループSNEの藤澤さなえとやや変則気味。
PC①枠がいないんじゃない? というのは杞憂。
ツッコミ役*2や、PC③〜④辺りで賑やかしつつサポートするイメージが強い矢野俊策ですが、今回は実にピュアな主人公を演じています。
そして、ベテランしのとうこは2連投で主人公枠が続きましたが、今回はしっかりと脇を締めるPC③を演じています。


そして、大穴、PC②に藤澤さなえ
いやー、しのとうこの巻頭見開きカラーのイラストのパワーもありますが。
すげー。ダブルクロスの新しいヒロインだ。
イタリア出身のゴスロリ少女で、タロットカードをモルフェウス能力で大鎌などに変化させて戦う。
その設定・演出もさることながら、おバカで共感しやすい女の子で、敵の真っ只中にいながら相手に共感しちゃう(シナリオロイスなんですが)。
悲劇に振り回されるけど、それをキっと乗り切る。
実に素晴らしい、ジュブナイルのヒロイン像です。


このシリーズは、皆、FHの閉鎖空間で偏ったレネゲイドに関する情報を与えられて、特別な待遇で過ごしている。
そのため、今までのシリーズでは、主人公たちは既に日常との決別を経て、スれてたり悲劇ぶっていたり、オーヴァードであることに折り合いがつけられているんだけど、彼らにはそれがない。
キッカケや環境はもちろん悲劇だが、そういったダブルクロスの登場人物としての悲劇は、これから訪れる。


ダブルクロスの新たな一面を、これからたっぷり楽しめそうだ。

*1:田中天のトワイライト、小太刀右京のストライクは、それぞれステージが特殊なセッティングのキャンペーンであり、言わばメインストリームではなく、外伝とかおまけみたいなポジションであると考えます。ヴァリアントやゆにーばーさるは言わずもがな。

*2:いや、ナイトウィザードの柊は一応PC①だって務めているんだけどさ。