ゲーム的人生論

ゲーム的人生論 (Role&Roll Books)

ゲーム的人生論 (Role&Roll Books)

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遅ればせながら読みました。
アナログゲーム界の長老。鈴木銀一郎の半生を書いたコラム、ゲーム的人生論。
侮っておりました。


この本は、ソングシーカーと同時発売で、Role&Roll Books第一回配本分だったわけですが、実は今まで買い控えておりました。
古いゲーマーの嗜みとして、僕も一応ウォーゲーム*1も嗜んでいたのですが、正直なはなし、あまり面白いとは思いませんでした。
戦争自体に今もってまったく興味がありませんし、その当時の僕はどちらかというとゲーム性よりもロールプレイに比重が置かれていたので、十数個から数十個のコマを扱うゲームが楽しいとは思えなかったわけです。


そんな僕ですから、今日に至るまでウォーゲームに偏見があります。なので、ウォーゲームの巨匠であり達人である鈴木銀一郎氏に対しても、周囲の他のゲーマーに比べて少し距離がありました*2
氏の魅力は、ゲームの云々にあるのではなかったのです。
ここに、氏の半生が記されています。早稲田大学ドロップアウトしたこと、実家の経営を引き継いだこと、新宿でバーを経営したこと、出版社に勤務しての紆余曲折、そして翔企画を立ち上げるにいたる話。
正直な話、ここまでにゲームは関係なくても語れます。
いやむしろ、ゲーム関係書物としてではなく、ビジネス書の棚に並んでいてもおかしくない内容です。

ウォーゲームの巨匠として、人生の成功法則を「必勝の信念と投入量*3」と語る氏は、まぎれもなく人生の先達者として尊敬に値する人物であります。
大佐に敬礼!

*1:シミュレーション・ゲーム、SLGという言い方が一般的かと思いますが、厳密にはウォー・シミュレーション・ゲームはシミュレーション性やゲーム性よりも、まずは「ウォー」であることに主体が置かれていると考えるので、僕はウォーゲームと一貫して呼称します。もちろん、ジョン・ハダム監督の映画にも敬意を表する次第でもあります。まだ冷戦さなかの1983年にあの明快な論理を語ったこと自体敬意に値します。

*2:その昔、ドラゴンマガジン主催のコンベンションの折、鈴木銀一郎氏がゲスト出演されたのですが、終了後かなりの人数の出待ちがあると聞いてビックリしておりました、ちょっとしたアイドル並みです。

*3:この言葉の意味は、是非読んで内容を理解していただきたい。