トンデモ本? 違う、SFだ! RETURNS

トンデモ本?違う、SFだ!RETURNS

トンデモ本?違う、SFだ!RETURNS

[bk1はこちら]
前作トンデモ本?違う、SFだ!から1年半。
MONOマガジン連載のコラムを単行本化したもの……のハズです。*1


前作に比べて……というか、前作にも増して書き下ろしが山の如しです。
うーん。


前作は、小説だけを取り上げており、年代別に整理され、書き下ろしのトピックスはそれぞれの時代に即した、或いはその時代で取り上げた作品に関連して掘り下げていましたが、今回は小説だけではなく、映像・漫画などにも触れており、それらのメディア別に分類されています。
取り上げる作品の一例を挙げると。
小説ならC・クラークの「渇きの海」、レムの「星からの帰還」、映画にもなった「銀河ヒッチハイクガイド」、日本からは冲方丁の「マルドゥック〜」に有川浩「海の底」。
映像は「妖星ゴラス」に「禁断の惑星」、TV番組では「アウター・リミッツ」、「プラネテス」。コミックスには長谷川祐一「マップス」、佐々木淳子ダークグリーン」と、心あるものなら一つ二つは思い当たる作品が並ぶ。*2


ただ……書き下ろしの部分がなぁ……
「SF版ノックスの十戒を考えよう」
「これは本当に現実ですか? パラノイアSFの系譜」
「パクリはどこまで許される? あの名作の元ネタはこれだ!」
「心は今も十五歳 わが青春の『SFマガジン』の日々」
……と。
ちょっとイヤらしいなぁ、と言う気がしてしまう。
いや、言いたいことは分かるけど、ノックスの十戒にせよパクリにせよ、ちょっと説教臭い。
中身は面白いんだけどね。面白いんだけど……やっぱり説教臭い(苦笑)。
SFマガジン話は、その時代を単純に切り取っただけなので、山本弘ファン*3ならともかく、SFを知りたいだけの人には退屈。
無条件で面白いのはパラノイアSFの項目だけ、という気がしてしまう。


ただ、それにしても山本弘は作品を「面白おかしく」説明してくれちゃうので……ありがたいんだけど、僕のように事前に知っているのではなくて、ここで興味を持って実際に自分で見てみると、……なこともあるような気がするなぁ(笑)。

*1:何故不安かというと、巻末に初出の但し書きがないので。

*2:ちなみに、ここに取り上げているのは、僕が見知っていて、わりと有名だと思うものを上げた。

*3:僕はファンだけど、別に作家の半生に興味があるわけではないので。