塩の街
- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/01/23
- メディア: 文庫
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本書は、電撃文庫で持ってはいたんですが、イラストが原因でどうしてもヒロインも作品も好きになれなかったんですが。
有川浩だしね。
面白くないハズがないんです。
まぁ、もともとが電撃文庫でもあまり厚くない一冊だったので、三部作の中では一番ボリュームが少なく、同じ厚さの文庫本の中で、表題作の本編はほぼ半分程度。
残りの後日談と合わせて、一作になっていると言う感じです。
うーん、やっぱり武田三尉や望に比べるとあんまりヒロインに魅力感じないなぁ。
刷り込みなのかもしれないけど。
ちなみに、やっぱりこの三部作の影響かもしれないのですが、有川浩の作品はどうしても山本弘を思い出させます。
「海の底」と山本弘「MM9」のネタ被りだけでなく。
「塩の街」と山本弘の短篇「審判の日」*1とイメージが被る。
どっちも、滅びかけた日本で男女が生きている、ってセッティングが似てるだけなんだろうけど(苦笑)。
有川浩のほうが、わかりやすいSFだってのが、山本弘ファンとしては少し悔しいところではあるが。
本書は、アフターホロコーストを描いた終末SFである。
が、それ以上に。
言うまでもないが。
「愛」を描いた作品である。
後日談が四篇あり、うち二篇は秋庭と真奈の話だが、残る二篇は同じ「塩の街」世界に生きる別の人々の話である。*2
塩害というホロコーストに臨む、そういう場だから描かれる「愛」であるが。
実は、“死と隣り合わせ”なんてことは、平和なこの世の中でも変わりはない。*3
僕は驚くぐらい臆病者だから、相方と出会ってから、それを意識しなかったことはない。
二人と言う最小のコミュニティで、どちらかが先に欠ける。
例え、天寿を全うしたにせよ。
順当に行けば、男である自分のほうが先に逝く。
それは恐らく、全ての「二人」にとって潜在的な恐怖だ。
だから本書は、突拍子もないSFであるにも関わらず、人の心に訴えかけるのだと思う。
さて、これで自衛隊三部作が文庫で揃った。
願わくば、春までに「クジラの彼」を出して外伝まで揃えて。
その上で、春辺りからメディアワークス文庫で図書館戦争シリーズ。そんな展開が望まれます(笑)。