劇場版マクロスF イツワリノウタヒメ

先週、池袋で地下街の壁面に描かれたシェリルとランカ。
そして、それを写真に撮ろうと立ち止まる濃ゆめの方々。
……そうか、もう公開していたか。
http://www.macrossf.com/movie
実は今日はクリスマスキャロルを観に来たんですが。
3D上映で割り増し価格が納得いかなかったので、急遽、こちらへ変更。


前情報といえば、二部作の前編だということぐらいしか知らないで観に行ったワケなんですが。
何しろマクロスの映画はフィクションなので*1何でもアリだし(笑)。


というワケで。
TV放映とは設定も大きく変わっています。
根本的なところとして、まず人間関係が大きく刈り込まれてます。
ランカが最初からアルトと友人知人関係にあります。
これは、ランカの出会いと、シェリルとの出会いを双方描くとそれだけで時間を取ってしまうからなんでしょうが。
その結果、ナナセとルカは完全に背景になってます(笑)。
……その傍ら、クランが美星学園の先輩になっているのは、どうかと思います(笑)。


そして、当初よりギャラクシー船団の存在が強調されています。
その結果、シェリルに負わされている役割がちょっと異なってくるワケですが……
以下ネタバレ。

フロンティアは当初よりギャラクシーと対立関係にあります。
そのため、フロンティア政府やその傭兵であるS.M.Sは、シェリルとその一行をギャラクシーのスパイ・工作員であるとマークしているワケです。


そして、実は時系列的にはこの映画。
第7話のギャラクシー壊滅、ギャラクシーの残存船団回収作戦までとなっています。
ただ、この作戦の内容が、取り込まれたランカの救出、二人で唄うライオン、ブレラの支援、ケーニッヒモンスターの特攻、マクロスクォーターのダイダロスアタック、と最終話の戦闘シーンをなぞっているため、一見最終回のように見えるのですが。
実際にはTV版の3分の1程度も進んでいません。


終演後。
「ミシェル生き残ってよかった〜」
と、歓声を上げているおねーさん方がおられましたが。
……この段階で死んじゃあなぁ。


何しろ、まだランカがまともにデビューしてません。もちろん、「超時空シンデレラ」にもなってません(笑)。
やたらドサ周りはやっているようですが(笑)。
つまるところ。
アルトを巡る三角関係が、TV放映版の二人の歌姫との関係ではなく、元から仲の良かったふつーの女友達とスパイかもしれない大スター、という関係に変わっているワケです。
……ランカ勝ち目ないだろ、それ。


本作は、歌と戦闘の映画であるとのこと。
確かに戦闘シーンは見ごたえがあった。
シェリルのライブシーンは、新曲が加わって、これでもかと過剰な演出になっている。
……だが、個人的にはどっちも鬱陶しい。


僕の感想では、マクロスFの魅力は、二人の歌姫の意地の張り合いであり、アルトを巡る三角関係であると思っている。
だが、何しろランカがデビューしていないので、シェリルの視点からするとランカは眼中にない。
なので、アルトとシェリルの恋物語になっちゃってるのだ。
なのに、エンディングがランカの歌、というのも、ちょっと萎える。*2


例えるなら。
エビフライと牡蠣フライが立派で、トンカツが乗っていないトンカツ定食みたいなものである。
まぁ、肝心の女の戦いの部分は続編でキレイにまとめてくれるんだと信じていますが。


映画館を出て。
周囲は、感動したとか、凄かったとか興奮覚めやらぬ人ばかりでしたが。
……僕はちょっと眉間のしわが消えない感じでした。

*1:初代マクロスのTV放映版と映画版に相違点がある理由として制作サイドから提示された回答。原型になる架空の戦争があり、TV放映版も映画版もそのフィクションである、という考え方。

*2:そして、この新曲「そうだよ。」が、中島愛のファンには申し訳ないのだが、どう聞いても、坂本真綾のパチモンにしか聞こえない。他の曲はそうでもないのだが、この曲と「蒼のエーテル」だけは唄い方まで坂本真綾のクセをなぞっているようで、どうしても見劣りしてしまう。個人的には中島愛の歌では「天使になりたい」などが本領だと思う。