地球保護区

安心して読めるSF作家、小林めぐみの最新刊。

地球保護区 (ハヤカワ文庫JA)

地球保護区 (ハヤカワ文庫JA)

今回の舞台は、一度環境破壊によって壊滅した地球。
地球人類は宇宙に旅立って、地球の回復を待っている。
そして400年程の時が過ぎ。
地球は、辛うじて人類の生存が可能な状態まで回復した。
問題となっているのは、一部の地球人類が、勝手に地球に帰化して不法居住していること。
地球保護委員会の本来の目的は、地球の環境回復を促進し、外来種による汚染を防ぐこと。だが、現在では不法滞在する“新地球人”の対応を抜きにしては語れない。


えーっと。
ガンダムガイア・ギアか(笑)。
こういうテーマには古今、事欠かないんですが。
ガンダムガイア・ギアも、それこそ先日アニメ化されていた「シャングリラ」も、不法居住している側が主人公になることが多いのですが。
本書は、どちらかと言うと保護委員会の側からのドラマになっています。
流石、理系の人間は描きたいものが違う。


主人公は、モラトリアムする天才の落ちこぼれと、無敵なばーちゃん。そして健気な女の子。
実に小林めぐみです。
だいたい、「おちこぼれ」ったって、

彼が一を聞いて五しか思いつけないことを。彼らは二十も三十も思いつく。

五思いついている時点で、十分に我々のベースからすると天才なんですが(笑)。
そこに思い至らないのが、落ちこぼれたる所以。


僕は本書を読んで。
クラークの舞台セッティング、アシモフのガジェットとロジック、ハインラインのヒューマンドラマ。
80年代SF御三家のハイブリッドを見ました。
嗚呼、小林めぐみ、恐るべし。