地球保護区
安心して読めるSF作家、小林めぐみの最新刊。
- 作者: 小林めぐみ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/11/10
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 39回
- この商品を含むブログ (30件) を見る
地球人類は宇宙に旅立って、地球の回復を待っている。
そして400年程の時が過ぎ。
地球は、辛うじて人類の生存が可能な状態まで回復した。
問題となっているのは、一部の地球人類が、勝手に地球に帰化して不法居住していること。
地球保護委員会の本来の目的は、地球の環境回復を促進し、外来種による汚染を防ぐこと。だが、現在では不法滞在する“新地球人”の対応を抜きにしては語れない。
えーっと。
ガンダムかガイア・ギアか(笑)。
こういうテーマには古今、事欠かないんですが。
ガンダムもガイア・ギアも、それこそ先日アニメ化されていた「シャングリラ」も、不法居住している側が主人公になることが多いのですが。
本書は、どちらかと言うと保護委員会の側からのドラマになっています。
流石、理系の人間は描きたいものが違う。
主人公は、モラトリアムする天才の落ちこぼれと、無敵なばーちゃん。そして健気な女の子。
実に小林めぐみです。
だいたい、「おちこぼれ」ったって、
彼が一を聞いて五しか思いつけないことを。彼らは二十も三十も思いつく。
五思いついている時点で、十分に我々のベースからすると天才なんですが(笑)。
そこに思い至らないのが、落ちこぼれたる所以。
僕は本書を読んで。
クラークの舞台セッティング、アシモフのガジェットとロジック、ハインラインのヒューマンドラマ。
80年代SF御三家のハイブリッドを見ました。
嗚呼、小林めぐみ、恐るべし。