アリアンロッド・サガ(2) ワンダリング・プリンセス

天才デザイナー矢野俊策の小説家としての作品、第二巻目。

僕はその昔から、「GMと小説家は似て非なる職業、必ずしも名GMが名小説家足り得ない」と思っており。
その昔から、散々苦汁を嘗めてきましたが(苦笑)。


矢野俊策の文章は、安心して読めます。
フツーのライトノベルという印象です。


今回は、アルがピアニィと出会って、それから「私の騎士になりなさい」と言われるまでのリプレイ第1巻の間にあった出来事で。
今後も、リプレイの隙間をこうやってエピソードを埋めていくのでしょう。
それは実にいいコンセプトだと思うのです。


ただ、難を言うなら、アリアンロッド・サガというTRPGの展開の中で、どーなのかなーって思っちゃうことが幾つか。
魔族のいない大陸、アルディオンを舞台にしたこの「アリアンロッド・サガ」シリーズ。
今回の敵はバッチリ魔族です。
というか、この小説シリーズでは、バルムンクは魔族っぽいです。
……それはつまんないオチだなぁ、って気がするのは僕だけでしょうか。


アルが持っている、師匠の二本の剣も、何かフツーのラノベっぽい正体が明かされちゃいました。
なーんだ。
というのが、正直な感想。
もっと、メンタル的なものとか、哲学的なものとして掘り下げる方法だってあっただろうに。ザンネン。


また、今回の話は。魔族の特殊能力と、ステージのセッティングを聞いたらオチが見えてしまうのがちょっとザンネン。
TRPGだったら、オチが見えても、そこまでプレイヤー一丸になって向かっていけば面白いんでしょうが。小説だと、それを見せるのはそーとーの筆力が要りますな。
矢野俊策には、今後とも精進してがんばって欲しいところです。
あ、でも一番ガンバって欲しいのはTRPGデザイナーとしてなので、小説家にシフトチェンジはしないで欲しい(笑)。