スタートレック

観に行きたいなー、と思っていたら、ナント。
近場のシネコンでは、明日で公開終了。
ついこのあいだ、新宿で盛大にプレミアを行なったばかりなのに、と思ったら5月の話でした。
そっか、そりゃしょうがないわ。
http://www.startrekmovie.com/intl/jp/


ちなみに、僕はスタートレックのファンですが、あくまでST:TNGからのファンです。
SF者の嗜みとして映画は観てますが、TOSのTV版はBSで再放送してるのをチラホラ観た程度。
あくまで僕にとっての艦長と言えば、ピカード艦長です。
TNGで安定したファンをつかんだスタートレックは、DS9ヴォイジャーと長く続きましたが、最新作エンタープライズで過去に物語を移した結果、散々な評価になりました。


さて、そんな冷え切った状況で華々しく製作された本作。
本作はTOSのリメイクに相当する作品。
厳密に言えば、カークやスポック、初代のUSSエンタープライズのクルーの若き日の頃を描く新作なのですが。
大丈夫かな、という気持ちはありました(笑)。


懸念のキャスティングは、意外と悪くありませんでした。
やっぱり旧作を知っていると、登場するたびにニヤニヤしてしまいます。
特に、今回スポックを演じているザカリー・クイントは最高です。ちゃんとレナード・ニモイ演じたスポックと同一人物に見えます。*1
逆に、カークはビミョウでした。
元々のカークの魅力というのは、いい年齢で落ち着いた大人の男がヤンチャをやっちゃうところにあったと思うのですが。
若返ったせいで、ただの粋がったヤンチャな坊主にしか見えませんでした(苦笑)。
また、本作ではまだ艦長になっていないのでカークのシンボル的なあの座り方もしてくれませんし(笑)。


スタートレックの世界というのは、地球も充分なテクノロジーの発展を見せ。
人々は生きるため・金銭を得るために働くのではなく、自己を実現し社会に貢献するために働く、理知にあふれた世界です。
それは、惑星連邦の首長をバルカンが勤めていたから、かも知れません。
ところが、今回、地球上でのカークの子供の頃を描いたりするシーンが(まったく必要ないと思うんだけど)挿入されていたりするんですが.
これがまた、ごくごく普通のアメリカに見えます。*2


また、本作の最大の問題点は。


未来の歴史に繋がらない。


この一点につきます。
今回の敵、ロミュラン工作艦の艦長ネロが時間改変を試みた結果なのかもしれませんが……
にしても、ネロが時間改変を決断する出来事、それはTOSTNGの間の出来事のはずなのですが、それすらTNGの時代ではありえない話。
……つなげようという意思がないとしか思えません。


結果として。
スタートレックっぽさは、よく出ていたと思います。
昔のファンが、ちょっと懐かしむには良いでしょう。
よくできた二次創作という感じです。
また、スタートレックを知らない人が見ても、何の問題もありません。
実に良くできたハリウッドSFXアクション大作映画という感じです。


……ただ、従来のスタートレックのファンは、SFXバリバリのアクションとか、そういうのを期待しているわけじゃないと思うんですよね。
少なくとも、僕の求めるスタートレックはここにはありませんでした。*3
悪い映画では、なかったんですけどね。

*1:おかっぱにとがった耳という記号としての特徴的な点がある、という点はあるにしても。

*2:まぁ、これまでのスタートレックでは、登場人物のほとんどが惑星連邦で働くか、政府関係者だったせいなのかもしれません。ピカードやシスコも地上に降りたときはありましたが、こういう地上の描写がされたのも初めてな気がします。

*3:僕個人で言うなら、アクションシーンが始まると眠くなるという体質なもので(笑)、案の定、最後の艦同士のファイトで落ちかけました。