異形たちの街角 -インヒューマンズ・スクエア-

デモンパラサイト関連の新刊。
これまでのデモンパラサイトのリプレイ作品は、富士見書房のドラゴンブックスから文庫で刊行されていたが。
ここに来てRole&Roll BOOKSから「源平鬼御霊」に続いて刊行の第二弾。

「源平鬼御霊」は、デモンパラサイトの言わば外伝というか、パラレルなストーリーというか、そういう立ち居地でしたが。
本書「異形たちの街角」は、デモンパラサイトサプリメントで展開している、大友市を含む現代日本、その恐らく最新を描いている作品になる。


通常、デモンパラサイトの主人公たちは、〈悪魔寄生体〉と共生する“悪魔憑き”になります。
悪魔憑きは、並外れた身体能力を持っていたり、特殊な能力を操ることができます。
そして、時に。
そんな“悪魔憑き”の中から、理性を失って欲望のままに犯罪に手を染めるものが現れることがあります。それこそが、デモンパラサイト世界の日本が抱える一つの問題です。
そして、多くの「人間」たちは、これを快く思っていません。
そのため、サプリメントディアボロス・コーポレーション」では強化戦闘服「AAS」が、「ディアボロス・ユニオン」では「サイボーグ」と「ミュータント」が、人間側のキャラクターとして登場しました。
デモンパラサイト世界の異能のステージは、もはや悪魔憑きだけのものではなくなったのです。*1


本書は、それを踏まえた上での新作になります。
主人公たち、プレイヤーキャラクターは4人。
順に、警察のAAS装着者、大友製薬によって改造されたミュータント、セラフィム所属の悪魔憑き、アレス所属のサイボーグとなります。
異なる立場を持ち、異なる問題を抱える4人のキャラクターが、大友市で起きる、一つの事件に巻き込まれます。
これまで、暗黙のうちに協力していた警察とセラフィムの連携が、乱される、という形で。


本書は、全三話からなるんですが。
正直なところ、導入編を含む形になっている第一話を除くと、導入してすぐにボス戦という感じで、あまりゲームとしての構造にはヒネリはありません。
ただ、PCたちの置かれている立場が様々で、それぞれにドラマ性があり、それを演じているために、物足りなさは感じさせません。
デモンパラサイトらしいダメな感じも多少スパイスとして利かせつつ(笑)、僕は、デモンパラサイト・リプレイとしては既刊の作品では一番ではないかな、と思っております。
初のシリアスなデモンパラサイト・リプレイとして(笑)。


洋武のイラストも実にいいです。
……ただ、確かに現在の萌え一辺倒の富士見書房から出すには、異質すぎたのかもしれない(笑)。

*1:でも、使い勝手やデメリットの部分で言えば、やはりダントツに悪魔憑きが有利ですが。