剣をつぐもの

記念すべき、SW2.0のノベル第一弾。
待っていました!

ソード・ワールド2.0  剣をつぐもの1 (富士見ファンタジア文庫)

ソード・ワールド2.0 剣をつぐもの1 (富士見ファンタジア文庫)

SWのノベルというと、旧版第一弾の短篇集「レプラコーンの涙」が発売されたとき、その反響----特に「ジェライラの鎧」の反響は忘れることができません。
TRPGのノベルの場合、二通りの役割があると思います。


一つは、わかりにくい要素を事例的に紹介する役割。
前述「レプラコーンの涙」は前者でした、精霊使いが魔法を使うにあたっての共感の部分、戦士の戦い方、何気なく装備している鎧について。
こういった部分を補強してくれるのが、初期のSW短篇集には多かったです。


そしてもう一つは、大きな物語を紹介し、牽引していく役割。
旧版SWでは、「魔法戦士リウイ」シリーズ。それから、コンシューマゲームになった「死せる神の島」や「自由人の嘆き」などがそうだったんじゃないかな、と思います。
あと、良くも悪くも「ナイトブレイカーズ」シリーズ。*1
「こういう世界です」と簡単に説明しておいて、世界全体を揺るがすようなワリと大きな事件で時系列を進めるワケです。
リウイなんか、アトン倒しちゃったら当初の冒険者の目的がなくなっちゃいますからね(笑)。


本書は、どちらかといえば、後者です。
時節的にも、臨まれているのは、リプレイ「新米女神の勇者たち」とともにSW2.0のワールドを牽引する役割でしょう。


主人公はマギテック/シューターの少年。
ヒロインはザイア神のプリースト。
サブとして、タビットのコンジャラーと、大先輩格でレベルがダントツに違うナイトメアのファイター/ソーサラー
確かに、旧SWから新生SW2.0へ移り変わったことをアピールするためには。実にいい構成です。*2


ストーリーも、冒頭から主人公の住んでいた村は蛮族に攻め込まれ壊滅していたり。人族の街に蛮族が侵入するために、暗躍していたりとSW2.0の実はシビアな部分が明らかにされています。
でもまぁ、前半はキャラクターものの話に終始するのかな、と思われたんですが。
1巻のクライマックスにおいて「蛮王の剣」というキーアイテムが登場し、「蛮王復活」という大きな流れが動き出します。


TRPGライトノベルと、いいトコ取りといったらいいトコ取り。中途半端といったら、ちょっと中途半端かなぁ(笑)。

*1:個人的には大好きなんですが。アンチな方も多くいらっしゃるので。

*2:あとはルーンフォークが欲しいぐらいですが、そちらは「新米女神の勇者たち」で目立ってますからね。