終わり良ければすべて良し

いろいろと最終回が続きました。
終わったものに、感想を。これ以外の作品は、途中で挫折しました。*1


相棒 シーズン7。


まぁ、既にシーズン7にもなると取り立てて言うこともないんですが。
今回、半ばの第9話で亀山が警察を退職。
10話から18話まで、相棒のいない特命係が続いた形になります。


もともと、「相棒」には右京だけが活躍する話が幾つかあります。
多くは、右京と亀山が分断されてしまう構成。
この場合、右京が犯人に相対し、亀山が走り回って情報を集めます。
このパターンで亀山の役割を、角田課長や鑑識米沢などが務める。
その他としては、第3の男・陣内や捜査一課トリオの一人・芹沢などが亀山の代わりに右京に同行するなど、さまざまなパターンを披露しました。
最終的に、最終話にて新たな相棒、ミッチー演じる神戸が異動してきましたが、これまでこれまで馴れ親しんだ他のメンバーとはちょっと異なり、自尊心が強すぎてでしゃばり過ぎるのが欠点ですが、そこが今後右京との付き合いで胴変わっていくのかが楽しみです。


……シーズン8の話になりますが(笑)。


それにしても、この「相棒」という話は社会派の話も多いのですが。
特筆すべきは、右京のその性格にあります。
右京の、犯罪を許さないこと苛烈である、このこと他作品の探偵に類を見ません。
探偵には、しばし潔癖な存在の存在もありますが、人情深い話の一つもあるものです。たとえば有栖川有栖の火村准教授のように「人を殺したいと思ったことがある」という台詞に、どこか、悲哀を含んでいるものです。
だが、少なくともこれまでの話で右京にそういう様子は見られません。
彼の場合は、得てして誰も幸せにならない形での真実の暴露を、それが真実であるという一点において実現します。
まぁ、業界的な話をすれば、社会はドラマとは名ばかりの人情話に偏っていた一時期のミステリ全般に対する、アンチテーゼなんでしょうがね。


私も嫌いではありません。(←右京の声で)


メイちゃんの執事


水嶋ヒロ佐藤健のダブルライダー。もといダブル主演。
それだけでご馳走様です。


ぶっちゃけて言うと。この作品は、「お嬢様一人一人にイケメン執事が付く」というネタの、出オチみたいな作品です。
ストーリーに特筆すべきものもないし。
設定面や、ドラマの描写なんかは……嘘臭すぎて、話になりません。*2
まぁ、一番ムカつくのは主人公のメイの薄弱っぷりです。
恐らく、原作通りの展開にする関係なんでしょうが、年齢設定が高校生になっていたり、榮倉奈々が演じるにあたって随分とボーイッシュな性格になっていると思われるのに、毎回毎回同じようなレベルの問題で落ち込んで周囲に迷惑をかけて……
鬱陶しいったらありません。
榮倉奈々がガタイがいいだけに、本当に見ていてむかつく。
いっそ、「花より男子」のつくしみたいに、馬力出してくれればいいのに。最終回まで、あの体たらくでした。
他のキャラも面白かったし、テンポも良かったのでそれだけが残念。
多分、スペシャル特番やると思うので、それを楽しみにしてます。
ちなみに個人的には、剣人サイコー!(笑)
でも、少年漫画では幼馴染が本命だけど、少女漫画では一番最初にフラグが立った王子様が本命なんだよね。アテ馬確定。可愛そうに……


キイナ〜不可能犯罪捜査官


菅野美穂演じる、不思議ちゃんな刑事キイナがちょっとオカルトチックな事件解明に挑む、という話。
元のモチーフに「特命リサーチ200X」が入っているということで、スタンスがかなり近いです。
具体的に、どう近いかというと……


既に、マニアの間では捏造が常識のネタを事実であるかのように言及する。
比較的、信憑性の薄い仮説を、さも真実のように言及する。


という辺りが、です(笑)。
ただまぁ、「200X」と違って、厳然たるフィクションなので。
別にその辺の知識が間違ってようと、ストーリーとして面白ければいいかな、と思う次第なワケですが。


面白かったと思います。


キイナが写真記憶の持ち主なんで、その点を活かした推理シーンは、まぁ、ガリレオのパクリみたいなもんですが(笑)、キャッチィでよかったと思います。
また、ストーリー的にも結末がオカルト一辺倒で終わらなかったこともあり、見やすかったと思います。
次が幾らでも作れる設定だと思うので、せめてシーズン2ぐらいは行っていただきたい。
そう思う次第。


ケータイ捜査官


……。


相方が最近、「ヤッターマン」が観に行きたい、というのです。
……不吉なコトをいうんじゃねぇ(泣)
三池崇史という人はな、非常に多作家だが面白い映画は一本も撮ったことがない監督なんだよ!(涙)
ゼブラーマン」も微妙だったろ?


「ああ……」(納得言った、という顔の相方)


そんな、三池崇史監督も、「ケータイ捜査官7」で、僕の評価は覆るかな、と思ってたんです。
……最終回1つ手前までは!(涙)


ナンだ! あの最終回!!
ドン引きです。興醒めです。


「大人のための特撮目指した」って言ってなかったっけ?
ラス1までは、良かった。「ネットワークは管理されなければならない」とか。実にいいテーマを描いていた。
それが。最終回、全部パー。
プロップ版のセブンが欲しかったんですが、もうどうでもいい感じです。
ここまで冷めるとは思わなかった。


どうやら最後の脚本を書いた人物、設定を無視して書いているか。
恐らくは、ソフトウェア・インテリジェンスとハードウェア・インテリジェンスの区別が付いていない。


フォンブレイバーの知性が、単なるAIソフトウェアとDBによる個性だとするなら、新しいラムダチップとボディにバックアップからデータを転送すれば、簡単に複製・あるいは復活ができることになる。
ところが、実際にはそれをしていない。
開発経緯を考えれば、経験値を積んでいるフォンブレイバーは貴重なはずなのに。*3
だとすると、彼らの知性がラムダチップというハードウェアに依存していることになる。
実際、「ラムダを抜かれたらおしまい」とも言及されている。


だとすると、今度はジーン周りの描写がおかしなことになる。
そもそもジーンは、簡易量産型のためラムダチップを持たない。恐らくそれを並列分散リンクと個体数、それに既存のネットワークで補っていると思われる。
ということは、知性の主体はネットワーク全体であって、セブンの体に取り込んで「私ごと敵を討て」とか、できるとは考えにくい。*4


ジーンの発現、対人間用ウィルス映像、サードの最後などの中途半端にホラーで意味のない比喩的描写、SF的科学交渉を無視してファンタジックに降臨した魔王であるジーン、セブンの理論無視で安易な自己犠牲。


ダメダメである。


たちの悪いファンタジーアニメを見ているようでしたよ。
「大人のための」なんて大嘘。
こういうのを子供騙しと言います。
……かと思うと、フォンブレイバーすべてが斃れる、アンダーアンカーは解体される、主人公は特に成長していない(少なくとも、最終回において成長を示唆する描写はない。)、と後味の悪いビターなエンディングにつながる。
とってつけたように、光の中にセブンの幻影が浮かぶ。ハッピーエンド。


一見すると、お涙頂戴の感動シーンにも見えなくもないが……
何がしたいのか、さっぱりわからない。
視聴者をバカにするにもほどがある!
折角、異なる知性であるフォンブレイバーを1年間かけて描いてきたのに、そのエンディングがこれでは、これまで関わった人々が、本当に浮かばれない。


やっぱり三池崇史は、「あと一歩惜しい」「詰めが甘い」、今一つの作品しか作れない監督だった。
……「ヤッターマン」は観に行かないほうがいいな。

*1:トライアングル、リセットなど。今期は面白そうな作品が多くて、追いきれなかったんですよ。

*2:西東京がすべて学園の敷地、月謝1億というベラボーな設定なのに、他のクラスがあるほど人数がいたり。かと思うと、でも決してソーレ4人衆以外に他のクラスのメンバーが画面に映らなかったり、明らかに調度品がガワだけの張りぼてで安っぽかったり、本館前の庭が例え冬だろうと芝生が枯れているなんてもってのほかだったり。主な移動手段はヘリというワリに一台しかないヘリを共有しているようだったり。穴がたくさんあります。

*3:セブン以降、ラムダチップが生産されていない可能性はある。ただ、それでもフォースを初期化して上書きしない理由はわからない。エライザに繋がなくたってスタンドアロンで初期化させればいいだけの話。

*4:ラムダが2つの知性を許容できる容量があり、なおかつジーンが何故かネットワーク上の本体を全部消去してセブンに移動したのだとすれば説明は付くが、そんな効率の悪いことをする必然性がない。