K-20 怪人二十面相・伝

開演時間を考え、TOHOシネマズ南大沢へ。
いつのまにか、ものすごーく駅前に建物が増えてます。
その反面、シネコンの中は閑散と……MOVIX橋本ができてからユーザーが分散したからでしょう。
どちらも都内では有数の居住性の高いシネコンなんですけどね。


そんなワケで。K-20です。
http://www.k-20.jp/
いやぁ、やっぱり金城武は銀幕にかかってナンボだわ。格好いい。

怪人二十面相・伝」と名のつく作品は結構ありまして、北村想の本作原作も読んだと思っていたのですが、映画を見てもゼンゼン思い出せませんでした。
それだけアレンジが強いのか、僕がすっかり忘れているのかは定かではありません。


内容としては、トレーラーで説明されている通り、大きく裏切られるところはありません。
サーカスの軽業師、金城武演ずるところの平吉が、二十面相にはめられ、身代わりとされます。
帝国主義の色濃く残る世界観ゆえ、まともな捜査もされず*1、拷問に近い尋問を受けます。
いろいろあってナントカ脱出した平吉は、やっぱり紆余曲折を経て、二十面相に一泡吹かせるために、怪盗の修行をはじめ、二十面相と同等に戦えるまでになります。


と言うわけで、本当に面白かった。
ナンだか、映画館では「赤い糸」とか「20世紀少年」とか、いろいろとこの作品よりもフィーチャーされている作品が多いわけですが、これぐらい痛快な娯楽エンターテイメントはないと思います。
ROBOT製作ということで、ジュブナイルリターナーに通じる演出、雰囲気があります。その辺りの作品が好きだった私にはたまりませんでした。


平吉は、怪盗になるべく淡々と「泥棒の修行」をしているシーンが実にいい。
昨今のヒーローは自分の努力じゃなくて、アイテムとかがビューンと飛んで来てパワーアップしちゃいますから、自助努力って物が見えないわけですけど、こういう汗臭すぎず、恰好良く見せてくれるのは実にスバラシイ。


対するライバル、明智小五郎演じる仲村トオルもいい。
「少林少女」では、大概な役でしたが、これは本当にいい役でした。
陸軍秘密情報部内での「明智」の芝居は、本当によかった。
そして、ヒロインの松たか子
正直、もう三十路ですよ。戦前の風習下の未婚のお嬢様を演じる歳では……本来、ないはずなんですが。これが驚くぐらいピッタリとはまり役。
「物を知らないお嬢様」然とした品の良さと、いざと言うときに発揮される行動力の一体感は、こんな難役を演じられる女優はそうはいないのではないかな。
早くDVDが欲しい一作です。

*1:アリバイを探せばいくらでも崩せたでしょうしねぇ。