神曲奏界ポリフォニカ

ポリフォニカ最新刊。
「月刊ポリフォニカ」とか言う目標と言うか揶揄する言葉というか、そういうのがGA文庫編集部にはあるそうですが……
今月は、クリムゾン・シリーズの「クリムゾンS」の2巻、ブラック・シリーズの「リベレーション・ブラック」の2冊。
神曲奏界ポリフォニカ クリムゾンS 2 (GA文庫) 神曲奏界ポリフォニカ リベレーション・ブラック 神曲奏界ポリフォニカシリーズ (GA文庫)
だったら発売月をずらして月数を稼げばいいのに、とも思います(笑)。


読み進めるのが難しかったのは、既刊数の多いブラックだったのですが*1、先日ようやく全巻揃いました。
神曲奏界ポリフォニカ プレイヤー・ブラック (GA文庫) 神曲奏界ポリフォニカ トライアングル・ブラック GA文庫 神曲奏界ポリフォニカ レゾリューション・ブラック 神曲奏界ポリフォニカ ブラック シリーズ5 (GA文庫 お 2-5) 神曲奏界ポリフォニカ ペイシェント・ブラック 神曲奏界ポリフォニカブラックシリーズ6 (GA文庫 お 2-7) 神曲奏界ポリフォニカ メモワーズ・ブラック (GA文庫) 神曲奏界ポリフォニカ リライアンス・ブラック (GA文庫) 神曲奏界ポリフォニカ アイソレーション・ブラック 神曲奏界ポリフォニカシリーズ (GA文庫)


いやー、本当に面白い。
元々、ポリフォニカの世界観である、精霊と人間が共存する世界。神曲というギミック。
いずれも私の好みで。
しかも、ライトノベル然としたイラストや展開の中に、「精霊と人間と言う異なる存在がコミュニケーションし共存していく」という難解なテーマが盛り込まれています。

以前も書きましたが、おそらく日本で一番成功したシェアード・ワールド・ノベルだと断言できるでしょう。
それは互いの作品が共鳴するように、作用し、補完し。白→赤黒青への時間の流れ、赤黒⇔青の空間の広がりが繰り広げられているからです。

赤は、確かにアニメ化するだけはあり、一番ライトノベル然とした物語。
実は一般の神曲楽士派遣事務所を舞台にしていますが、登場するキャラクターは特異な過去やスキルの持ち主ばかり。
これでもかと、社会に影響のある大きな事件に巻き込まれます。


黒は、ハードボイルドな刑事モノ。
事件の規模で言えば千差万別、ただの殺人事件であることもわりと多いのが特徴です。
実は精霊が犯行に絡んでいなかったりすることもあったり……ミステリ仕立てで、適度にロジック派、適度に社会派です。


白は、コバルト文庫的な少女小説の世界。
赤ベースの「現代」からは夢のような「魔法の世界」。
始祖精霊や、その聖獣が飛び交う特別な物語なのですが、その物語のメインはあくまで心の交流だったりします。


そして、青。
萌え萌えなイラストや設定にだまされると損をします。
実は、赤の表裏一体になっている作品であり、「精霊と人間がどう関わっていくか」を真剣に取り上げている作品です。
スタートが遅く、刊行ペースも遅いので、既刊が2冊しかないのが残念といえば残念です。


その他に、黒スピンオフのレオンシリーズ。
元々、レオンは汚れ役の面があり、それでも黒シリーズに出ている間は「いい精霊」のうちに踏みとどまっていたんですが、実は巻が進むにつれて、法律も倫理も無視して行動する場面が増え、とてもじゃないけど主人公として大丈夫なのかな、という感じはします。
他シリーズのメンバーと対立していないからいいですけど、万が一対立したら許されるキャラクターではないのが、それが魅力ではあるんでしょうね。
ダン・サリエルは、とりあえず1巻しか出ていませんが、赤と時間も舞台も同じくする「息抜き」の作品。
神曲楽士や精霊の「普段」を描いている、楽しい作品です。


こんな楽しい世界が、TRPGになり、プレイすることができるのは、本当にうれしいと思う。
……問題は、プレイヤーに恵まれていないってことなんだよなぁ(笑)。

*1:何しろ一括で取り寄せても、ちゃんと順番どおりに届きませんでしたので、時間がかかって先に読み進められませんでした。