僕の彼女はサイボーグ
- 出版社/メーカー: ギャガ
- 発売日: 2008/10/17
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「未来から自分を守るために送られたアンドロイドの“彼女”」
彼女に、人間の心は芽生えるのか。
韓国人監督が叙情的に描く日本の風景は驚愕。
そして、物語は誰も予想できない衝撃のクライマックスへ!
以下、ネタバレ。
役者もスタッフもすべて日本人、ロケも日本で行われているのに……ナンだ、この不思議な感性は。
まず……日本じゃねぇ(笑)。
しかも東京じゃあ、もっとない。
主人公の部屋がとにかく広い。アメリカの西海岸のドラマで学生が住んでいるような部屋だ。何しろ室内で靴履きだし。
日本じゃ通りに露天で、野菜や果物を積み上げて売ったりはしないよ。
いきなり犯罪者がマシンガンを振り回したりはしないし。
そういう西洋的な町並みが多いかと思えば。
主人公の故郷は、「昔、地震でつぶれて、人々が村を捨てた」そうですが……
国土が狭くて、行政が裕福な日本じゃ地震で廃村にするなんてなかなかありえない。中国の発想だ。
この故郷の風景が出てくるのだけれど、これも明らかに戦前の風景で、木造平屋ばかりで電線もなければ、おばあちゃんは着物にもんぺだし。十数年前の風景とは思えん。
少し田舎に行けばこれだけ文明格差があるというのか、……この辺も中国の発想だよなぁ。
まぁ、話法とか台詞回しが日本人っぽくないのは仕方ないにしても。
ねぇ。
ある意味、カルチャーショック。
第二に。
ストーリーが凄まじい。
タイムパラドックスとか、時間線とか一切考えていない。
立派な時間犯罪者ですよ。
しかも、主人公本人だけならいざしらず、TVで見て心を痛めた事件、とかを解決しちゃってどうするんですか。
最初に「彼女」を送り込んだ未来の主人公は「時間は元に戻ろうとして、不幸が降りかかるだろう」とか言っていましたが、そんな様子は一切なし。
トレーラーで見ると、視界一面壊滅しているカタストロフが描かれていましたが……あれはそういう時空の因果関係がゆがんだ結果ではなくて、フツーに起こった天災らしいです。
しかも、タイムパラドックス以前に単純な時間線がクロスしておかしなことになっている。
(1)の世界で全身不随になった主人公がアンドロイドを過去へ送る→(2)の時間軸へ。
(2)の時間軸で、アンドロイドが主人公を助ける。アンドロイドがある人の手に渡る。(2')
(2')の時間軸よりある人が過去へ戻る→(1)と(2)両方
(2')→(2)の後のラストシーン→(2)から更に分岐
この発想、凄まじい。
何より、ものすごく日本人の感性ではないんだな、と思うのが。
1年近く同居しながら、アンドロイドの「彼女」に名前をつけないんだ。ずっと「彼女」と呼ばれている。
日本の作品なら、空からまっさらな女の子が降ってきたら、まず名前をつけるよなぁ。
不思議な感性だ。
とにかく、「未来の自分が自分を守るためにアンドロイドを送り込んだ。そのアンドロイドに恋をする」というコンセプトを聞いて、誰もが想像するストーリーの、そのどれでもないと断言する。
前代未聞、誰も想像できないクライマックスだ。
ある意味、ぜひ見るべき価値がある。