暗い路のヘカテ

出ていたんですね……気付いていませんでした。

[bk1はこちら]
今回は、篠谷志乃「迷うものたち」、友野詳「暗い路のヘカテ」、川人忠明「胸の中の震音」の3本。
総じてバランスがよく、読んでいて苦痛、というのがないのがありがたいです。


篠谷志乃「迷うものたち」
あとがきではジェントル・ゴースト・ストーリーだと書かれていますが。えーっと、こういうのはジェントル・ゴースト・ストーリーって言うんでしたっけ?
どっちかというと、ちゃんとゲームのシナリオ的という気もします。
ただ、被害者の視点から描く、という形で読みやすく、かつテンポ良くなっているのはなかなかです。


友野詳「暗い路のヘカテ」
表題作。
本当に友野詳かと思うぐらい、普通の作品です。
とは言うものの……今回の敵のヘカテが、ユウレイである感じが、まったくしません。
今までの百鬼夜翔とどこが違うのだろう。
ところで、このゲスト兄のほうは、〈魂の技芸〉に目覚めたら、爆撮するようになるんですか? そんな終わったばかりのアニメからパクらなくても……


川人忠明「胸の中の震音」
こちらも、被害者の男の子の視点から描いた作品。
ヘンなキャラクターなのですが、僕的にはあまり嫌味がなくてよかったという感じ。
語り口がライトなので、爽やか感があります。
ネタとしては、あまりアレなのかも知れませんが(笑)。
でも、〈魂の技芸〉として、コガネのウィップ・ダンシングは反則くさいよなぁ(笑)。


先月のRole&Roll誌にGURPSリボーン・リバースの紹介が載っていたので、とりあえず次の3巻で日本全国に〈世界樹〉が現われ、ユウレイ事件が日本全国に広がる、というのはわかりましたが。
スロースタートだなぁ(笑)。
それにしても、やっぱりユウレイの設定に違和感を感じる。
個々の設定としては、例えばユウレイは感情を喰うので、魂を高揚させる〈魂の技芸〉を通じて操らなければならない。とか。〈世界樹〉・オーバーシード・〈霊操者〉に生える花・〈宿体〉と書いて「プランター」と読む、などモチーフをあわせているところなどは、面白いと思うのだけれど。それとユウレイが死者の霊ではない、っていうのと上手い具合にリンクしていない気がする。
やっぱり折角、人格のある霊を操ることをモチーフにしているのに、操る側と霊とのコミュニケーションをあまり重要視していないしね(まぁ、設定上、認めなくてもいいのかもしれないけど)。
〈魂の技芸〉にしたって、路上パーカッションであちこちバカバカ叩きながら霊を操ったり、タップダンスで召喚したりという画面は格好いいと思うのだけれど、あんまりバリエーションがなぁ。小説のメンバーからして反則臭いのがいっぱいいるわけだし。
せめてもう少し、丁寧にキャラ造形してほしかった。