霧舎学園ミステリ白書 十一月&十二月

二年半ぶりのシリーズ最新作。

棚彦と琴葉の一年を描く「霧舎学園ミステリ白書」。
夏の七月・八月に続いて、二冊同時刊行。


私立霧舎学園ミステリ白書 十一月編&十二月編プレミアムセット (講談社ノベルス)
こーんな、プレミアム版も売っていたんですが。
前回、買い損ねましたので、通常版で揃えることにしました。
それに……ねぇ、表紙の地色がシルバーになっていることと、ケースが付いて700円増しなんですが。
そもそもこのケースが、サイズがサイズなので、本書を入れることにしか役立たない(笑)。A4版とは言わない、せめてB5版あれば使い道もあるのに。
本棚に並べたい人間としては、横並びにしまうケースなんぞ邪魔でしかありません。


感想なんですが、正直な話……。
待たされたワリには、うーん、と言う感じです。
そもそもこのシリーズは、1998年の一年間を舞台にした話で、それを踏まえた描写になっているのですが。*1
今回、描写や素材に、首をかしげる点が幾つかあり。
98年にそれは容易じゃないだろう、とか。98年の段階では普通の高校生はその知識ないだろう、とか。
もちろん、100%ありえないわけじゃないんだけど。
やっぱり10年前を思い出すと、首を傾げる感じです。


以下ネタバレの恐れがあるので。
しかも、今回、この二冊は一つの上下巻みたいなもので、実は一冊ではちゃんと完結していません。
一応、十一月でも終わってはいるんですが。
尻切れトンボと言うか、違和感や尻つぼみ感が否めず……、その理由が、十二月を読むとこの二冊が繋がって一つの事件であったことに由来することがわかるのです。


今回、ネタとしては、琴葉の両親から棚彦と琴葉までの間に、もう一組。
伝説に挑んだ探偵とパートナーがいて、彼らは伝説を成就できず、ダークサイドに落ちてしまったことが語られます。
そう言えば、「探偵は犯罪者と紙一重」なんてことを言う探偵もいたような気がします。
面白そうなネタではあるんですが……その結果、ものすごーく、霧舎学園周りがせまーい閉鎖空間に見えちゃうんですよねー(笑)。

*1:だから、例えば琴葉は携帯電話を所有していない。