剣の世界と電子の世界

ようやく腰を落ち着けてプレイすることができました。


いやまぁ、携帯ゲーム機なんだから腰を落ち着ける必要はないんですが(笑)。

実はプレイまで間が空いたのは、ぶっちゃけ。


キャラクター名に悩んだ。


この点につきます(笑)。
自分は意外と、ネーミングにこだわるもので。
デフォルトネームがあれば、そのまま使うんですが。そうでない場合、そのキャラクター性に合った名前がつかないと気持ち悪い。*1
何しろ、SW2.0DSは前情報が殆どない。
ノベライズ版はあったけど。
僕が女性PCを選ぶことはまずないし、ナンかSW2.0で女性PCのイメージがないんだよね。


それでも、何とかネーミングが完了したので、ようやく本編へ。


以下ネタバレ。というか買った人だけ見てください。



ナンというか。
総評から先に言うと、残念ゲーという感じ。


ゲームブックというアイディア自体は悪くないと思う。
コンピュータゲームには、アドベンチャーゲームとかノベルゲームというジャンルがあって。
書籍媒体のゲームブックと異なり、豊富なイラスト、音楽、文字を表示させるテンポのコントロールとアドバンテージが幾つもあります。


……ただ、今回いろいろとお粗末過ぎ。


まぁ、マニュアルがぺらっぺらだったり、カートリッジのレーベルが三色刷り文字のみの低予算感抜群なのはまだしも、
中身そのものがなぁ……


まず。
文字を読むことがメインなのに、文字のスクロール速度は変えられるものの、文字サイズなどは変更できない。
12文字×7行でどれだけの表現が伝えられるものか。
もちろん、ゲームにはゲームなりの文法があって、うまいゲームは短い文章で上手く伝える。
が、今回のグループSNEのシナリオは、ゲームブックという点にこだわってか、あくまで小説の文法で記述されている。正直、この文字数では目で追うのが鬱陶しい。
また、一行ごとにリターンマークをタッチしなければならないというのも鬱陶しい。
一応、AUTOで流すこともできるのだが、その設定は一段落ごとに解除されてしまうので、結局1ページ1ページはめくらなくてはならない。


そのほかにも、致命的ともいえるインターフェース系の不備はたくさんあって。
タッチスクリーンの他に、一部キーが割り振られてはいるんだけど、上のオート行送りとか肝心のコマンドは選択できなかったり。


また、テキスト系のゲームではもはや当たり前だが、過去に表示した文章を遡って見れるモードがあるが、このページからは辞書機能へ飛べない。
つまり、ついうっかり読み飛ばしたり、あれ? これはどういう意味だっけ、と思っても遡れない。
こういうゲームだったら、メニューに辞書機能があればいいのに。


そして、致命的なのが、このゲームが。


ソード・ワールド2.0でもナンでもない


という点。


いちいちキャラクターメイキングをさせられますが、どうも能力値が判定に関係している様子がない。


第一、最初に「戦士」か「魔法使い」かを選ばされ、物語はそれに沿って演出される。
「魔法使い」を選んで、スペルキャスター系のスキルを取らなくても、途中で何故か魔法を使う。しかも、そんな呪文はSW2.0には存在しない。
MPの管理もない。
武器や防具を買うこともない。
「魔法使い」でも「戦う」で相当のダメージを与えられる。MPの管理がないから攻撃魔法乱射したほうがいいのは確かだけど。
じゃあ、何のための能力値なんだ?


戦闘では、敵と味方交互に2D6を振って、出目が大きいと相手にダメージが与えられる。
ダイスを振るのは1回限り。
命中判定なのかダメージ判定なのかも不明。
敵の攻撃の回避もできない。
そして、魔法使い系のスキルをとっても、取得できる呪文は回復かダメージかの二種類のみ。
結果として、レベルを上げても呪文が増えるわけでもなく、見た目の何も変わらない。
そもそもMP管理してないしなぁ……


持っているポーションの説明もないので、どのタイミングでどう使うものなのかさっぱり。*2
ポーション系以外にシナリオ上の展開でもアイテムがリストに加わることはない。
なので、何のアイテムを持っているのか、それがどういうものなのか振り返れない。


ナンか、ゼンゼン、ソード・ワールド2.0ではないし、その必然性もない。
インターフェースそのものも、RPGを表現するのに向いていない。
グループSNEは何も言わなかったんだろうか。


更に言えば、グラフィック。
低予算にもほどがある!
昔、僕らが同人で作っていたゲーム並みにグラフィック数がない。
特に、主要キャラクターの通常グラフィックなんか、幾つあってもいいだろうにデフォルトの表情が少し変わるぐらい。
例えば、「鎧を脱いでくつろいだ」と言う文章にもかかわらず、横の表示されているキャラクターは武装して剣や銃を構えてこっちをにらんでいる。
ヒドすぎ。
……少しは乙女ゲーやギャルゲーを参考にしてください。
しかも、とっくに退場したキャラクターが表示レイヤー処理のミスでか、シーンが変わるまで左の画面にずーっと表示され続けるバグがあった。


結局。
ブロッコリーはこの「ゲームブックDS」を一つのフォーマットとして育てたいらしいんだけど。
……前途は多難だ。
そもそも、今回、リリースされたこと自体が奇跡みたいなものだ。
誰がGOを出したのかわからないけど、とてもじゃないけど商品として店頭に並べていいものだとは思えない。
それが僕の感想だ。
価格設定が、定価1980円なら、SW2.0のネームヴァリューとシナリオで納得する。
少なくとも、現在の価格設定はこの不備だらけのインターフェースとフォーマットでは、暴利に過ぎる。
だいたい、汎用フォーマットを作ろうというのに、この一本で制作費を回収しようとしたのかな。
チャレンジャブルすぎる企業だなぁ。


まぁ、シナリオとイラストそのものは悪くない。
ゲームブックを楽しむ感じも、懐かしいと同時に、嬉しくもある。
多少、フラグ管理が甘くて、既に出会ったキャラクターと初めて会ったみたいな挨拶があったり、おかしなところはあるけど。
そのくらいはご愛嬌。
……パートナーのノノがうざいけどね(笑)。


むしろ、書籍で出してください。
買います。

*1:DQ9の場合は、元々個性が現れにくいDQの演出に加えて、天使という役割を負っているところから連想しやすかったのですが。

*2:まぁ、予想はつきますけどね。