電車男SP

録画してあった電車男アナザーストーリーを見る。
内容としては可もなく不可もなく。
やっぱり本筋のほうがいい話だし、その本筋から見るとと蛇足気味な部分もあり。
それでも、最終回で桜井がボロボロだった理由や、何人かのキャラクターのその後が描かれているのは嬉しい。
つまりは、やはり番外編であり、単体で評価するものじゃないんだな。


しかし、最終回はどうかという感じだったけど(ガンダム・シード並みに総集編だったし)前クールでは一二を争う良作だったと思うし(あとはやはり『女王の教室』かな)。
人気があり支持された、その故はやはりラブストーリーであったことが重要なのだとは思うけれど、それと肝心なのは、この作品には悪人がいないということだ。
若干、桜井が悪意の人だが(笑)、彼はそれゆえ常に滑稽に失敗するさだめを背負っている。即ち、タイムボカンでいうドロンジョ一味のようなものなのである。
彼の場合、金持ちのイイオトコがこういうポジションにいるから(あと、もちろん役者の演技力もありますが)悲惨に見えないし、そんな桜井の状況も込みで「あぁ、ハッピーエンドだな」と思わせてくれる(笑)。


そう。
先のクールでは、『タイガー&ドラゴン』とか流行っていたみたいだが、僕が一番評価していたのは『あいくるしい』だった(ちなみに二番目は『曲がり角の彼女』)。
この作品は、もちろん、主役が神木隆之介君だというのも最大の要因だが!(笑)、とにかく悪人が出てこない。当初悪人見えたとしても、そこには不幸なすれ違いだけがあり、しかしそれが回りまわって金田一少年のような悲劇になったりはしない。
何故なら、登場人物みんなが、善意と努力を以て幸せになろうとし、それを成し遂げる。悲劇を回避している。
そういう作品だから素晴らしかった。
そう、『電車男』も、そういう作品なんだよね。


登場人物を不幸にすることは簡単だ。
エキセントリックな登場人物や、一発芸的なネタだけで瞬間的に客をわかせることは出来るかもしれないけれど。例えば、それは舞台でならばアリかもしれない、でもいろいろな人が、いろいろな状況で、時期も異にして見ることが前提の(今はビデオ録画が前提と考えたほうがいいし)TVドラマでは、決して上策とは言えないと思う。
乗り越えられない悲劇は視聴者に決して何も与えないし、そんな作品が愛されることはない。
横溝正史金田一少年が受けるのはあくまで「ミステリ」だからであるし、昼ドラが受けるのは最終的に主役2人の愛ですべてを乗り切るからである。


本当に素晴らしい作品は、どんな困難があっても素晴らしい人間が描かれている(安易なハッピーエンド、という意味ではない)作品なんだと思うんです。
ねぇ、少なくともとある特撮は、そういう作品を目指せていたと思うんですけどね。29話までは……
(えっ、結局ヒビキの愚痴かよ----苦笑)